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売れている商品はどう新聞広告を使っているか ── 健康志向の食品 3つの事例 ──

世の中にメッセージを伝えるために新聞は重要

─ チョコレート「乳酸菌ショコラ」「おいしいハイカカオ」─

株式会社ロッテ

マーケティング統括部 第二商品企画部 新商品企画室 室長 犬飼美穂子

菓子業界でも「健康」をテーマにした商品が注目されている。ロッテは、2015年10月に「乳酸菌ショコラ」、2016年10月には「おいしいハイカカオ」と健康志向のチョコレートを市場に送り出している。商品開発、コミュニケーション戦略に携わったのが新商品企画室室長の犬飼美穂子氏だ。

発売の背景に健康管理が「自分ごと化」される時代

── 「乳酸菌ショコラ」「おいしいハイカカオ」と健康志向の二つの新商品を発売されていますが、その背景からお聞かせください。

ハイカカオも10年以上前に一度ブームがありましたが、一過性のブームで終わったことがあります。その頃と今で圧倒的に違うのは社会背景です。65歳以上の人口比率は2005年は20.2%でしたが、2015年には26.7%と急速に高齢化が進んでいます。医療費を削減しようということで、国にも個人にも「自分の健康は自分で管理する」というセルフメディケーションの考え方が広まっています。この「セルフメディケーションの自分ごと化」が、10年前とは違うところだと思いますね。

── 以前は自分ごと化していなかった?

10年前はテレビ番組で取り上げられた食品が翌日に店頭から消え、次の月には元通りという状況がありましたが、今はもう少し地に足のついた健康志向になっていると思います。もう一つは、世の中に出回っている健康に関する情報量が、10年前とは圧倒的に違うこともあります。お客さま一人ひとりが情報の発信源になっている。そのへんが違うと思いますね。

2016年10月1日 朝刊

薬品メーカーとのコラボで作られた「乳酸菌ショコラ」

── 「乳酸菌ショコラ」からお聞きしたいのですが、乳酸菌入りチョコレートという発想はどこから出てきたのでしょうか。

乳酸菌は認知度が高いだけでなく、健康維持をサポートするということが多くの人に理解されている成分です。乳酸菌とチョコレートを組み合わせた商品には大きな可能性があると以前から思っていました。しかし、菓子メーカーに乳酸菌の知見が豊富にあるわけではありません。そう思っていたときに、日東薬品工業という乳酸菌研究のエキスパートである薬品メーカーと出会ったのです。

── 薬品メーカーとの共同開発で生まれたチョコレートということですか。

そうです。日東薬品工業は、乳酸菌を生きたまま粉末化するという技術を持っています。乳酸菌を乾燥して粉末化しないと、医薬品やサプリメントで使えないからです。

しかし、乳酸菌は熱や酸に弱い。チョコレートは、製造過程で熱を加えることが多い。試行錯誤の結果、過酷な環境に強いと言われる植物性の乳酸菌を採用し、乳酸菌を生きたまま配合する混ぜ方を開発しました。この方法は、今、特許出願中です。

さらに、経時試験を実施したところ、チョコレートに配合された乳酸菌は常温保存で1年経っても、そのほとんどが死なずに生き続けていたのです。これは乳酸菌を長年研究してきた日東薬品工業にとっても驚きの結果だったようです。

── チョコレートで包んだ乳酸菌が100倍以上の耐酸性をもつという人工胃液試験結果は、新聞広告でも紹介されていますね。

そうですね。しかし、「耐酸性が付与される」という実験結果で「チョコレートで乳酸菌を摂る意義」は明確になりましたが、それだけではチョコレートで乳酸菌を摂取するという「新習慣」を定着するのは難しいと考えたのです。それで、さら にチョコレートならではの価値を探るために、消費者意識調査を実施しました。その結果、既存の乳酸菌商品には「賞味期限が長い」「冷蔵保存が不要」というニーズを満たしながら「嗜好品としておいしく食べられる」ものがない、という仮説が見えてきました。

「常温保存が可能」「いつでも、どこでも食べられる」「おいしい」、この3つが「乳酸菌ショコラ」の訴求ポイントの軸になると考えたんですね。

乳酸菌関連商品についての調査

王道のマス広告展開で信頼感を持って伝える

── 広告展開はどのように考えたのでしょうか。

これまでにない新提案の商品だということで、マス広告の力を使って垂直立ち上げをしました。使ったメディアも、テレビCMを軸に、新聞、雑誌、交通広告、Web広告と基本を押さえて、「乳酸菌を摂る新しい方法が出ました」ということを伝えていきました。

── SNSで話題を広げていくという手法を採らなかったのはなぜですか。

最初にも言いましたが、消費者も情報の発信者になっている時代で、健康に関する情報も清濁混合というか、正しい情報も間違った情報もネット上に膨大に出回っています。そういう時代だからこそ、「この情報は正しいですよ」という信頼感を持って情報を伝えることが非常に大事になってきています。健康系の商品の場合は、特に安心感・信頼感を伴って情報を伝えるということが必要なことだと思うのです。そうすると、広告展開も奇をてらわず、王道になっていくということなんですね。もし、ネット上で話題を作っていくにしても、マス広告を使ってきちんとした情報を伝えた後だと思いますね。

── 新発売の広告展開の前に、モニターキャンペーンを実施したと聞いていますが。

商品のネーミングは「乳酸菌」で素材名を、「ショコラ」でチョコレートのおいしさを伝えようということで「乳酸菌ショコラ」にしたのですが、「乳酸菌」と言っていることで「おいしくないのではないか」「酸っぱいのではないか」と思われる懸念があったのです。そこで広告展開の前にモニターキャンペーンを実施したのです。「乳酸菌ショコラ」を1週間食べてもらった結果は、99.1%が「おいしい」、87.7%が「これからも食べ続けたい」という回答だったのです。同時に聞いたフリーアンサーを含め、広告や店頭POPなどで紹介していきました。

読ませて、リーチできる新聞の記事広告を多用

── 新聞広告は販売2000万個を達成した昨年10月にも掲載していますね。

新発売から新聞広告は、その信頼性と他のメディアでは届きにくいシニアをはじめ多くの人々にリーチできるということで使っているのですが、この「2000万個達成。本当にありがとうございました!」は、お客様へ感謝の気持ちを伝えるとともに「乳酸菌ショコラ」が世の中に支持されていることを伝える広告です。特定のターゲットではなく、世の中にメッセージを伝えるメディアというのは新聞が最適であると思います。

それから、新聞広告は一つのメッセージを伝えたいときにも、この広告のように記事広告スタイルで多くの情報を伝えたいときの両方に使えます。「読ませて、リーチができる」というのも、新聞の特徴だと思います。

「乳酸菌ショコラ」のような健康系の商品は、認知だけがあればいいというわけではなく、「どういう価値をお客さまに提供するか」まで伝えて、初めて店頭で見たときに手に取ってもらえ、試し買いをしてもらえます。そのため、読ませて、リーチができる記事広告を多用したというのも、今回の広告展開の特色だと思います。

店頭プロモーションとしてヨーグルト売り場に「乳酸菌ショコラ」を一緒に並べてもらうという新しい試みもしました。結果は、ヨーグルトの売り上げも上がって、「乳酸菌ショコラ」も売れた。ヨーグルトとは競合せずに共存できる。それも新しい発見でした。

2016年10月23日 朝刊

2016年12月23日 朝刊

朝刊広告と店頭試食の連動を意識

── ハイカカオは10年前にもブームがあったということですが。

はい。「おいしいハイカカオ」は既存市場への参入ということになります。ハイカカオは、カカオ70%以上のチョコレートを指すことが一般的です。数年前より、再びハイカカオは健康意識の高い人たちの間で根強い人気がありました。調査をすると、ハイカカオの購入層は60代を中心に、50代、70代が多く、味に不満を持っている人や、健康にいいということで買ってみたが、苦くて続かないという人が多かったのです。

「おいしいハイカカオ」は、そういう人たちに、我慢しないで食べられるハイカカオを提供したい、ということで作りました。外側のチョコレートにはマイルドなガーナ産カカオ、内側のチョコレートには心地よいほろ苦さのエクアドル産カカオの2層構造になっています。

── どういう広告展開をしているのでしょうか。

新聞広告と雑誌を中心に「読ませる。食べてもらう」を広告コンセプトに展開しました。「乳酸菌ショコラ」で事前のモニターキャンペーンが好評だったこともあり、発売前、モニターの方に試食してもらい、その結果を誌面や店頭のPOPでも展開しました。新聞広告は、カカオの味と産地へのこだわりをきちんと知ってもらうため、我々の開発担当の研究員にも紙面に出てもらい、3回に分けてこだわりを語る形をとりました。

店頭プロモーションは、美味しさを実感してもらいたいということで、試食にこだわりました。朝、広告を読んでもらって、関心を持ってもらったところで、スーパーなどの店頭で試食してもらう。紙面と店頭の連動も意識しました。

2016年10月12日 朝刊

2016年10月16日 朝刊

2016年10月22日 朝刊

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